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Billboard Japan 2024 年間ランキングを数字の面で振り返る

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amano-yuuki.hatenablog.jp

 

 ここからは6日早朝に発表されたBillboard Japan 2024年の年間ランキングで明らかとなった各要素の具体的な売上、再生数をここ5年間の数字と比較し振り返ります。

 

ストリーミング(サブスク)再生数

www.billboard-japan.com

 

 ここ5年のストリーミング年間ランキングにおける再生数はこのようになっている(2022年以前はベスト10のみ公表)。

2020-24 Streaming

 昨年につづき年間1位の再生数は5億を超えており、5位の水準が今年初めて3億を超えている。10位は2021年より低いがここ2年と比べ水準が上がったものの、20位は昨年を下回る数字となった。なお今週(2025年度初週)、今年8月リリースのMrs.GREEN APPLE「familie」が1億再生を記録したと発表があったが、この曲の年間順位は69位であり、昨年は58位のシャイトープ「ランデヴー」が年度内にリリースし、年度最終週に1億再生の発表があったため、年間1億再生を記録した曲は昨年を上回っていると見られる。

 

 サブスク先進国ではユーザー数の頭打ちが2022年頃から始まっており、音楽市場の成長が鈍化傾向にあるが、CD販売の既得権益により音楽のデジタル化が遅れた日本においては、年間1億再生の記録する曲数の増加を見る限り、まだ成長の余地がありそうだ。ただ前の記事にも書いた通り、日本のユーザーは特定のプレイリストやアーティストを繰り返し聞く傾向が強く、そこに有る・無いの差がユーザー数の増大により顕著になっている可能性がある。昨今日本では「ヒット曲に興味が無い」人が増えているようだが、このような「ただ何となく聴き流している曲」の再生数に無意識のうちに貢献してしまい、知らないうちにヒット曲扱いされてしまっている曲もあるかもしれない。特にBillboard Japanの場合はストリーミング再生数の占める割合が上半期、年間ランキングともなると圧倒的になるため、数年前の曲であっても、いつも聴いてるプレイリストに入っているために再生数に貢献してしまい、年間ランキングにいつまでも残ってしまう曲もある。これを「民意」として示すべきか、「異常」として対策に乗り出すか。繰り返しになるかもしれないが、サブスク配信業者も伝え方を考えるべき時期に達しているのかもしれない。

 

 

ダウンロード

2020-24 Download songs

 ダウンロード売上だが、これは表を見ても分かる通り市場規模の減退が明らかであり、年間5位、10位の売上は5年前と比べ1/3以下になっている。ここ最近では総合チャートトップ10入りし、ダウンロード売上で週間50位以内に入った曲の週間売上が3桁になっているのも散見しており、取り上げるだけの価値があるかも疑問に思える水準まで売上が低下している。もちろん総合チャートに与える影響も小さくなり、ダウンロード売上だけが高くても週間チャートなら上位に食い込めるが、年間ランキングとなるとそうもいかなくなる。

 ただまだCD売上と比べると他の要素との連動性が見受けられ、必然的にダウンロード売上年間上位は年間ランキングにも食い込めている。今年度はダウンロード売上年間100位以内に入った曲のうち、半分の50曲が総合年間100位以内にも入っている。ただ週間チャートでは特典販売(配信業者毎に違う特典を付ける等)による影響も大きく出る場合があるので、その際には注意が必要だろう。

 

 ちなみにアルバムダウンロード売上もここ5年の数字を出してみたので、これも紹介する。

2020-24 Album Download

 こちらは1位の数字こそ5年前の1/5以下にまで急落しているが、5位や10位の売上はそこまで急激に落ちず、今年はむしろ回復している。ただ週間1位の売上が3桁になる事もあり、ロングヒットにより数字を稼ぐより、CD売上のように初動の売上が年間ランキングに与える影響が大きくなっているものと見られ、これは単曲のダウンロード売上とは異なる傾向と言える。

 ただ当然CD売上と比べれば一桁以上数字が違うため、これを持って人気の指標とするには無理がある。それは同時にアルバム総合チャートでもあるHot Albumsにも言え、これだけ市場規模の違う要素を掛け合わせる事自体に問題がある。まだ以前のようにルックアップがあり、それがそれなりに影響しているのであればまだしも、CD売上とダウンロード売上だけでは物足りなさがあり、抜本的な見直しが必要と言えるだろう。

 

 

 その他の年間ランキングについてはこちらからご覧ください。

www.billboard-japan.com

 

 

 今回はサブスク再生数とダウンロード売上に絞り、まとめてみましたが、いかがだったでしょうか。個人的には今年もっとも変化が見られたのはMV(ビデオストリーミング)再生数だと思うのですが、YouTubeの年間ランキングを待つべきでしょうかね。


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